1. 橋本 芳宏 様 名古屋工業大学大学院社会工学専攻経営システム分野 教授
『 IoTの革新性と制御の将来像 』
第1部
IoT の革新性は「もの」が「インターネット」につながることで、インテリジェンスがものから離れ,物理的,空間的,時間的制約から解放され発展しうる点にあり,実現に重要なセキュリティの観点から、「もの」をうごかす制御システムの将来像について論じたい。
1.IoTの革新性
「もの」からインテリジェントが離れると
2.Industrie4.0,Industrial Internetの革新性
IoTに関する世の中の動き
3.Secureでなければ、IoTの世界への参加はありえない。
IoTに対するサイバー攻撃の最近の状況
4.Cloudを利用したコントローラのありかた
Cloud, Fog, Field Controlの3階層での制御
5.Controlへのサイバー攻撃に対するBCP/BCM
万全なセキュリティ対策はないという前提での対策
1.IoTの革新性
・「もの」からインテリジェントが離れると
・「もの」の革新とクラウドでの
アイデア勝負
・IoTの推進技術
「もの」からインテリジェントが離れると?①
マイコンジャーの場合
(課題) 富士山の頂上では、うまく炊けない
革新前のカイゼン
→気圧計をマイコンジャーに追加
→マイコンのCPUを更新し、
メモリを追加
革新後
→クラウドに通信し、ジャーの場所を特定
→場所の情報から、気圧を推定
(他人のセンサーや気象庁情報から)
→クライドで、気圧に応じた加熱条件を算出
→ジャーでローカルな温度制御を実現
通信とシンプルな機能があれば
ジャーにセンサーを追加することも
CPUやメモリの強化も必要ない
2.Industrie4.0,Industrial Internetの革新性
・IoTに関する世の中の動き
・システマティックにイノベーションを
起こすには?
・Reference Architecture Model (RAMI4.0, IIRA)
3.Secureでなければ、IoTの世界への参加はありえない。
IoTに対するサイバー攻撃の最近の状況
セキュア開発、セキュアチップ、OPC-UA、データ・ダイオード
ハニーポットに組み込み機器を経由して攻撃してきた記録で
トップは、ビデオデッキ!
経路は、スマホで、遠隔の録画予約ができますね。
次に、ルータ、子供の見守りカメラ・・・・
このように、IOTとセキュリティは不可群のものではなく
攻撃を予防するセキュリティ対策が必要である。
※セキュアでなければ、IoTの世界への参加はありえない
セキュア(secure)とは、安全な、不安の無い、保障された、頑丈な、などの意味
日本国内だって、長期操業停止も
• 公的に報告されていないし、マスコミにも流れないが、2010年以前から、国内企業でも、マルウェア感染が製造現場の装置で見つかり、完全除染復旧するのに、長期操業停止を余儀なくされた事業所が存在し、最近は被害が増加している。
• 1か月以上停止した例もある。(甚大な経済的損失!)
• ドイツの製鉄所では、操業を断念する大事故も発生
セキュア開発
IoTデバイスの開発
・開発時点に、悪意のコードが潜り込んでいた可能性をできないトラブルがすでに発生している
・セキュアデバイス、コードの利用
・開発時の人とコードの管理とテスト方法IoTデバイスのメンテナンス
・OSのような共通ソフトの脆弱性について、
そのパッチが自システムに与える影響を評価できる必要がある
・脆弱性が、共通のソフトだけで発生するわけではない。
個別ソフトに脆弱性が存在するかというチェックと、開発後別のシステムで発見された脆弱性と自システムとの関係をチェックし、必要な対策を適用できる体制が必要になる。
4.Cloudを利用したコントローラのありかた
Cloud, Fog, Field Controlの3階層での制御
Fog, Field Controlでのセキュリティ対策
■コントロールシステムのセキュリティ問題
■インテリジェントはセキュリティ管理対象
■プログラムのセキュリティ管理
■クラウドのメンテナンスでの利点
コントロールシステムの将来像
Cloud と Fog によるクラウド機能の導入
5.Controlへのサイバー攻撃に対するBCP/BCM
万全なセキュリティ対策はないという前提での対策
セキュリティ人材育成プロジェクト
名工大制御系サイバーセキュリティ演習
・攻撃を想定しても、新たな攻撃は、たいてい想定外
・統一化ではなくバリエーションの確保
・やられたら困るという視点からの防御点の選択
・同時に陥落しないゾーンに分割
・デモプラントのゾーン分割例
・セキュリティ対策立案
2.古川 益一様 キャタピラーマネジメントオフィス
『 経 営 再 建 』 ~生き抜け!!生き残れ!!生まれ変われ!!~
第2部
再建コンサル15年の歴史を昨年は、1冊にまとめた。経営の困窮度に応じて、「改革」「再生」「転生」の3つの方法に分けて再建してきたが、再建するよりも一切の会社経営の束縛から逃れ、自由な生活を送る方が幸福と思われる場合は「倒産」へと導いた。圧倒的に不利な立場に置かれた人間をいかにして救い、立ち直させるかという観点で法律や一般常識を超越した考えで実行してきた方法である。
◆はじめに
参加者に、講演テキストとして限定図書『経営再建事例とポイント』96ページを配布して頂きました。
この事例集は、会社や個人を含めた再建事例300件以上の中から代表的な事例25件をまとめたものです。具体的な生の事例に触れ再建への道のりを身近に感じて頂くことが出来ればとの思いで書きました。
経営の困窮度に応じて、「改革」「再生」「転生」の3つの方法に分けて再建して来ましたが、再建するよりも一切の会社経営の束縛から逃れ、自由な生活を送る方が幸福と思われる場合は「倒産」へと導くお手伝いをしてきました。
そして、会社ばかりでなく、個人の悩みの解決例も載せましたので、個人の方も現在の置かれた状況に似た事例を読まれることにより、おおよその解決のヒントが得られるものと思います。しかし、前もってお断りしておきたいのは、これらの解決方法はいわゆる常識的な再建方法ではないということです。「圧倒的に不利な立場に置かれた人間をいかにして救い、立ち直させるかという観点で法律や一般常識を超越した考えで実行してきた方法」です。従って、全てを描くには支障があり、赤裸々に書き切れない部分もありましたが、こんな考え方もあるのか?と感じて頂けるものと思います。
私は25歳で静岡にて脱サラ起業してより27年間、総合建設業として連続黒字経営を誇りながら平成12年5月、51歳であるきっかけにより倒産しました。
倒産後、静岡市から藤枝市へ転居、次の人生設計を考える間もなく、友人、知人から様々な相談が寄せられるようになり、いつの間にか、再建のお手伝いをするようになりました。
最初は手探りだったものの、相談者と悩みを共有し、共に歩く二人三脚は、日々新たな体験を積むことになり「いかに苦しくても、生きる道筋を作り、勇気と自信を取り戻すことが出来れば、必ず立ち直り再建できる」と確信するようになりました。
「過去を冷静に振り返り、客観的な分析と反省を加え、新たな考え方で進むことにより、必ず道は拓けます。」本書がきっかけとなり、再建への勇気が湧くことを願っています。
一口に経営再建と言っても、その方法は実に複雑です。様々な考え方や状況の変化などに流されず、間違った方向へ向かわないようにするには基本的な方針を確立する必要があります。私は、次の5つの方針を大切に守ってきました。
〈 5つの方針 〉
➊ 誠意と将来性により全ての関係者の善意を引き出しその総和を味方とする
・ 破産や民事再生などの法律に頼らず、道徳的な規範に基づき解決する。
・ いかに正しくとも争いは避け、和合する
・ 常に将来の計画を、誠意を持って提示、関係者の善意に囲まれながら
実行していく
➋ 商法や税法などの法律に対し超法規的な考え方を持つ
・ 借金は額ではなく、その返済額を毎月の生きるための経費と考える
・ 税金、福利厚生費等は会社存続の上に成り立つものと考える
・ 勇気を持って会社の存続責任を訴え、理解を得ながら重荷を負わないで責任を果たしてゆく
➌ 再建を人生の生き方を変えるチャンスと考える
・ 今までの人生を振り返り、新たな人生の一歩と考える
・ 生きる道筋を確立した上で、無理な頑張りをしないで時期を待つ
・ 再建を通じ信用という財産を築きつつ、心の幸福を求め、感謝を持って歩む
➍ 必要なものと重要なものを分けて考える
・ 必要なものは人なら衣食住、会社では人・物・金であり、それらを得るための知識である
・ 重要なものは考え方、理念などの形のないものである
・ この二つの調和を取りながら経営基盤を固めてゆく
➎ 形に捉われず柔軟に対応、次善の計画で満足、最善の結果に導く
・ 先の分からない人間にとって最善はない。次善策ををスピーディーに
実行してゆく
・ 再建は、改革、再生、転生の3つの方法で考え、形に捉われない
・ 倒産は全てを倒し、新しい人生を産む、究極の再建方法である
この方針を共有出来れば、どんな難問題でも解決できることを実感してきました。
3 再 建 方 法〈善意総和型再建方法〉
善意総和型再建方法とは、経営苦に堪え切れず病気になったり自殺したりする社長を目の前にし、なんとか「人間としての尊厳を守りつつ、家族を犠牲にすることなく関係者の協力を得ながら再建する方法はないものか?」と模索する内にまとまった再建への考え方であり、その方法です。「会社を取り巻く関係者の善意の総和により再建する考え方でどんなに苦しんでいても必ず再建できる方法」と考えています。
4.再建の流れ
5 任意民事再生方法の特徴と内容
当善意総和型再建方法は見方を変えると任意の民事再生と言うことも出来ます。
➊ 特徴
① 早い:法律に頼らないので許可も報告も不要なため、即、翌日から
取り掛かれる
② 安価:公認会計士の費用や、租税公課等の費用がかからない
③ 確実:一方的な再生計画でありながらも関係者全員の協力を得ながらの
形であるため、確実に再建できる
④ 恨みを買わない:民事再生法は負債の大幅カットをした上、残額を長期で
分割返済してゆく。これに対し全額支払うことを確約しながらの
再建であるため債権者から恨まれず協力を得られる
⑤ 無理な努力をしない:スタート段階において無理な努力をしなくても実行
出来る道筋(再建計画書)を作成して成功へと導く。
➋ 内容
多くの関係者の共感と協力を得るためには、自分勝手な考え方ではなく、存続することに責任を持つことを認識していただかなくてはなりません。それら全てを再建計画書に盛り込みます。
① 経営理念の確立:社会に貢献する会社であることを基本とする
② 経営方針:経営理念に基づく方向性を示す
③ 各部門計画:経営方針を具体化するため3部門で計画する
6 再建への心構え10ヵ条
どんなに苦しくても再建への可能性は残されています。しかし、過去からの考え方を変えなければ再建は困難です。“企業は人なり”と言われます。しかし、その人たちをまとめる社長にその魅力がなければ優秀な社員は去り、どうでもよい社員が残り、衰退していくことになります。逆にどんなに苦しくても、社員に恵まれてなくても社長次第で人は集まり、売上は自然に伸び、会社は必ず良くなるものです。再建の心構えを10ヵ条にまとめました。この心構えを基に、社長としての自分自身を見つめ直してみましょう。
1条 見方、考え方を自分自身に向けて反省する
2条 客観的に分析した悲観的な計画を、楽観的に実行する
3条 無理な努力を必要としない道筋を作る
4条 責任は果たす。しかし重荷は負わない
5条 将来の約束は必ず書面化する
6条 どちらが良い悪いにせよ争いを避け調和を図る
7条 知識を知恵によって活かす
8条 真実をぶつけ合わず、真理で話し合う
9条 最善を求めず、次善を求めて即実行する
10条 流れに飲まれず、流れに乗る
私は会社倒産の試練を経て、本当の幸福な人生というものを知ったように思います。24歳より26年間も営々と積み上げて来たものが一挙に崩れ去る苦しみは形容しがたいものです。しかし、見方、考え方を変えると、形を求める人生から目に見えない幸福な人生への自己改革の転機となったものと感謝しています。やせ我慢のように思われますが、心底そのように思っています。自分自身でも不思議なほどです。
会社再建は経営者自身の自己改革の貴重なチャンスです。また、そこまで行き付かないと本当の再建は出来ないものと思います。
この冊子は、私の今日までの実体験を再建事例として書き留めたものです。「こんな方法もあるのか」と参考にして頂ければ嬉しく思います。
あとがき
IoT の広範囲な利用が始まっていることを感じていますが、これからIoTを進めるために本筋を学ばなければならないですね。
ウエアラブル(直接身に着けられるほど小さいコンピュータ等)、スマート家電、照明、その他のスマートデバイス(あらゆる用途に使用可能な多機能端末)が主流になってきています。
消費者向けスマートデバイスの人気は、将来に向けて非常に早いペースで成長し続けると予想されています。
東京オリンピックが開かれる2020年にはインターネットに繋がる「モノ」、どんな展開がされるのか想像をしたい。
モノがコンピュータになることは様々な便利な機能を実現するために必要であるが、一方、既に発生しているIoTでのセキュリティ侵害事例があるように、サイバー空間では「便利」であることは「危険」であることと引き換えでもあります。
したがって、「IoT」にも「セキュリティ」が必要?であることを最優先と感じました。
第2部は、人生に悩みはつきもので人は心で生きている以上、悩まない人などいない特に経営者は苦境に立たされたとき、本人で無いと分からない想像を絶する苦しみを味わいます。その時に大切なのはそれに流されない心の在り方です。
将来に対しての心の在り方が確固たるものになっていればどんなに苦しくても生き抜いていくことが出来ます。
しかし、苦しければ苦しいほど、自分を失い、どんどん悪い方へ進んでしまうものです。将来に対する心の在り方を見失ったとき、古川益一さまの助言があればこんなに嬉しいことはないと思います。
講演終了後、お二人の講師さまを囲んで色々お話を伺って懇親会が行われました。
ご多忙にもかかわらず、ご講演をいただき感謝申し上げます 。
(CRN 川崎 修)