1・14時~15時30分
羽多野 重信 様 株式会社ナノシーズ 技術顧問
『 粉は 魔物か ? ――粉体の付着性・流動性を中心に―― 』
粉体は様々な生産分野において,原料,中間製品,最終製品として取り扱われているほか,日常生活の中でも実に多くの場面で用いられている。一方,ナノテクノロジーの進展とともに粉体特有のトラブルも増加の傾向にある。講演では,これらの現状と問題解決の道筋を考えてみたい。
「粉体」という言葉の始まり
『此等の問題の基礎には“粉”という特殊な物の特性に関する知識が重大な與(与)件として要求されるにも拘わらず,其れが殆ど欠乏している。
そうして唯(ただ)現象の片側に過ぎない流体だけの運動をいくら論じてみても完全な解釈がつきそうにも思われない。粉状物質の堆積は,瓦斯(ガス)でも,液でも,弾性体でもない別種のものであつて,此に対して“粉体カ学”があるべき筈(はず)である。
近頃,土壌の力学に関連して大分この方面が理諭的にも実験的にも発達してきたようであるが,それに併し殆ど皆静力学的のものであって,“粉体の運動”に関する研究は皆無と云っても過言でない』
寺田寅彦;自然界の縞模様,科学,3, 77-81(1933) http://www.aozora.gr.jp/
粉の不思議な性質
気体,液体,固体に次ぐ第4の物質の存在状態
・流れる(流動): 液体として扱える
・詰まる(閉塞): 付着性,凝集性
・固まる(固結): 圧密,成型,焼結
・吹き飛ぶ(飛散): 気体として扱える
・混ざる(混合): 新しい機能の付加
・分れる(分離・偏析): 偏析,分離,分級
・性質が変わる(変質):新しい機能の付加
最後に
1.粉体の付着性・流動性は,荷重下と非荷重下では異なる評価方法が必要
2.「粉は魔物か?」という問いに対して,一元的な評価に頼っていると魔物となり得るが,多元的な評価を重ねることにより(現象の因果関係を見つけることにより)魔物性がなくなってくると言える
3.粉体の付着性・流動性のより詳細で多元的な評価方法を開発していきたい
2・15時40分~17時
古川 益一 様 キャタピラーマネジメントオフィス
『陰陽五行思想と環境のおはなし 』
「陰陽五行思想を知らずに日本の文化や歴史、そして現代も本当に理解したとは言い難い」と言われている。陰陽五行思想とは、世界のあらゆるものは陰と陽に分類され、木火土金水の五要素により成り立っているという考え方である。この思想からは易経、風水、家相、九星学などが派生、極めて広範囲に渡り、私達の生活に密着しており、現在栄えている都市は風水術により設計されていると言っても過言ではない程である。
1. 陰陽思想 (いんようごぎょうしそう)
陰陽(いんよう)とは、森羅万象、宇宙のありとあらゆる事物をさまざまな観点から陰と陽の二つのカテゴリに分類する思想のこと。万物の生成消滅の変化はこの二気によって起こるとされ、その変化を理論づけ、変化の中に存在する不変の法則、すなわち宇宙の秩序を表している。そして、陰と陽は全く対立するものではなく、お互いに補完し合い境界はないとされる。
2.五行思想 (ごぎょうしそう)
自然現象、政治体制、占い、医療など様々な分野の背景となる性質、周期、相互作用などを説明する5つの概念である。単に5種の基本要素(エレメント)というだけでなく、変化の中における5種の状態、運動、過程という捉え方もされる。
木(木行)
木の花や葉が幹の上を覆っている立木が元となっていて、樹木の成長・発育する様子を表す。「春」の象徴。
火(火行)
光り輝く炎が元となっていて、火のような灼熱の性質を表す。「夏の象徴」
土(土行)
植物の芽が地中から発芽する様子が元となっていて、万物を育成・保護する性質を表す。「季節の変わり目」の象徴。
金(金行)
土中に光り輝く鉱物・金属が元となっていて、金属のように冷徹・堅固・確実な性質を表す。収穫の季節「秋」の象徴。
水(水行)
泉から湧き出て流れる水が元となっていて、これを命の泉と考え、胎内と霊性を兼ね備える性質を表す。「冬」の象徴。
四季の変化は五行の推移によって起こると考えられ、方角・色など、あらゆる物に五行が配当されている。そこから、四季に対応する五行の色と四季を合わせて、青春、朱夏、白秋、玄冬といった言葉が生まれた。
又、五行は五気、五材とも呼ばれ、人間に取って必要なものであり、その五気が天の監視のもと、天上という空間を絶え間なく駆け巡っており、この五気を天が人間に与えることで人間は生きていくことが出来る、という意味が込められていると言われる。
3.陰陽五行思想 (いんようごぎょうしそう)
「陰陽五行思想」とは前述の通り「陰陽思想」と「五行思想」を組み合わせたものである。
「陰陽思想」は古代中国神話に登場する帝王「伏義(ふっき・ふくぎ」が作り出したものであり、全ての事象は、それだけが単独で存在するのではなく、「陰」と「陽」という相反する形(例えば明暗、天地、男女、善悪、吉凶など)で存在し、それぞれが消長を繰り返すという思想である。
一方、「五行思想」は夏の創始者「禹」が発案したものであり、万物は「木火土金水」という五つの要素により成り立つとするものである。後に5つの惑星と、さらにその後様々な事象と結び付けられ、陰陽思想と五行思想が統合されて観念的な陰陽五行思想として完成する。
5. 風水
天地人の三行に風水を加え五行という言い方がある。つまり、天と地の間に人がおり、その環境として風と水があるということである。
「風はその土地の環境で目には見えないもの」「水は水の流れで、自然の流れとして目に見えるもの」「この2つの自然の法則を見て、いかに上手く自分達の生活に取り入れ利用するかを考えることが環境地理学であり」環境を変える風水と言う術である。
四神相応(しじんそうおう)の思想と日本の都市建設
・四方を守護する四聖獣 (しせいじゅう)
四神とは、青龍(蒼龍(そうりゅう / さうりう))・白虎・朱雀・玄武を指し、四聖獣とも呼ばれている。もともと青龍は河川・渓流、白虎は街道、朱雀は低地、玄武は台地をシンボル化したものだった。
そこから転じて、青龍は河を好み、あるいは住み、白虎は道を走り、朱雀は低地に溜まる大きな池に降り立ち、玄武は山に例えられるようになった。さらに、四神は包囲を守護する聖獣とも位置づけられており、東の方位は青龍が、西の方位は白虎が、南の方位は朱雀が、北の方位は玄武が、それぞれ守護していると信じられている。
四神相応の思想とは、東に河が流れていれば青龍により守護され、西に道あらば白虎により守られ、南に大池あれば朱雀の加護があり、北に山あらば玄武が禍を防いでくれるため、四神の相応する土地に都市や家を建てれば気の流れが整い幸に恵まれるというものの見方・考え方である。
実は、この四神相応の思想は、日本の土地建設においてたいへん大きな影響を与えている。長きに渡り政治と経済の中心地として機能していた平安京しかり、江戸の街しかり、これらすべてが四神相応の思想を意識して建設されたものである。
三頭の龍が育てた天下統一の地
・濃尾平野が戦国の英雄を輩出した原因は木曽三川
・百名近い人間の命と四十万両が消えた千本松堤の大工事
6. 家相学
7. 九星学(気学)
あとがき
粉体魔物説なるものが横行し、粉体は不思議なもの、粉体現象は予測のつかないものと考えられていたが、今回のご講演により「粉は魔物か?」という問いに対して,一元的な評価に頼っていると魔物となり得るが,多元的な評価を重ねることにより(現象の因果関係を見つけることにより)魔物性がなくなってくると言えると教えていただいた。また、これに静電気というものが加わると二つの魔物に遭遇するが皆さんへプレゼントする。
陰陽説とは、「宇宙の万物は全て陰と陽の二つのエネルギーで構成されている」という思想である。
ピラミッドがナイル川に沿って建てられているとしたら。
環境地理学からみたらピラミッドはテトラポットの役割をするために構築されたのか?
巨大都市は、日本においても古墳から四神相応の思想は、日本の土地建設においてたいへん大きな影響を与えている。現代においては、企業などの見える化・マニュアルの知識継承と非正規労働問題などを陰陽説で未来をひも解いてみてはどうか。
紛体に関して、陰陽五行思想のお話しとも内容は複雑であることが分かった。
懇親会では、のどぼとを魔物が水とともに五臓(六臓)に心地よく染み渡ったようだ。
今回は、CRN研究会の得意のする異質の内容ではあったが、どちらも煙のごとく理解するにはもうしばらくお時間を頂戴したい。お話をいただき御礼申し上げます。
(CRN 川崎 修)